宇宙戦艦ヤマトの謎の部分を、数少ない設定資料を基に自分なりの解釈で再現した前回製作のヤマト(以降"Mk.1"と表記)。
このMk.1が完成しないうちに、今回新たに別バージョン(以降"Mk.2"と表記)の製作を開始。

Mk.2製作のきっかけは、2011年5月開催の静岡ホビーショーの合同展示会。
この展示会に持ち込んだMk.1に目を留めて声を掛けて頂いたアディクトさんとの出会いである。
そのアディクトさんの考える、後部デッキ部分の「あるべき姿」と自分の製作したMk.1の構造が酷似しており、その後メールでやり取りを重ねるうち、今回のMk.2製作開始に至ったという訳である。
そして今回の製作テーマはズバリ、「後部デッキ構造の再現」である。
ただ単に「再現」という表現であればMk.1でも目標は達成できていると思うが、今回は内部構造まで考慮した「あるべき姿の再現」が目標。これはなかなかハードルが高い。

因みに、アディクトさんは宇宙戦艦ヤマトやスターウォーズ、ガンダム等に精通しており、自身のブログでこのMk.1についても取り上げて頂いている。
['11/07/31]
先ずは製作に先立ち、後部デッキ部分の大まかな図を作成。

そもそも、この部分はサイズや各部の位置関係に矛盾があり、設定資料を基に再現しようにも物理的には決して成立しない。その最大の理由は、ヤマトと艦載機とのサイズ比率の矛盾である。
コスモゼロのサイズを基準に後部デッキの構造を再現をすると、設定サイズより遙かに巨大なヤマトが出来上がる。
実はキットに付属する艦載機は本来の設定サイズより大分小さくできているが、その艦載機でさえも後部デッキ内に搭載するにはかなり無理がある。
Mk.1ではモデラーの意地で(?)、キット付属の艦載機を後部デッキ内部に搭載できるよう再現したが、その外形からかなり無理をしているのが分かって頂けるのではと思う(製作者本人として、これはこれで気に入っているが)。

というわけで、今回はヤマトファンの間で囁かれている(?)「ヤマトのサイズは設定の2倍」説に則り、1/500スケールのキットを1/1000の設定で製作することにする。
本キットの発売と同時期に上映された実写版「SAPACE BATTELSHIP ヤマト」が元々の設定の倍のサイズ(全長534.02m)となっていることも、1/1000と割り切る一因になった(そういう意味では実写版の存在も無駄では無かった訳だ・・・)。

設定スケールが決まったところで、先ずは艦載機をカタパルトまで運ぶための昇降エレベータのサイズの検討に入る。
ゲーム版ヤマトの設定資料によると、コスモゼロは長さ17.4m、幅8.2m、高さ5.8mとある。
このサイズからエレベータは長さ20m×幅10mに決定。1/1000サイズでは長さ20mm×幅10mmとなる。
このエレベータのサイズを基に、各部のサイズや位置を検討。Mk.1では左右の射出口が船体からかなり張り出しているが、今回は無理のない形状で再現できそうである。
['11/07/31]
大まかな形状が決まったところで工作を開始。
キットの後部デッキ部分をごっそり削り取ってプラ板で平らな土台を作り、そこに構造物を載せて行くという方法で進めていく。

同時に、設定では煙突ミサイル〜後部副砲の下近辺に艦載機用の格納庫が存在するため、そのスペースも検討しておく。
設定では格納庫は上下4段にもなるが、流石にそれは無理。写真のように上下2段分で一杯になる(コスモゼロの垂直尾翼を収納式にすれば3段くらいまでは何とかなるかも?)。
何れにせよ、今回検討した構成では何とか16機の艦載機を収納することができる。

続いて第3主砲の旋回軸について。
通常の戦艦のように太い旋回軸を艦体内部まで通すと、左右の艦載機用通路をふさいでしまうことになるが、これは"宇宙戦艦"である。
現在の戦艦のように砲弾を運ぶための機構なども必要ないし、その重量も現在の技術とは比較にならないくらい軽い素材でできている筈である(これは未来の宇宙戦艦である!)。よって旋回軸はキットの状態のまま、ごく浅くても機能上何ら問題は無いと判断。
補足として、砲塔自体は独立したモジュールとして機能しており、大きなダメージを受けた場合、そっくりそのまま交換するという設定を付け加えてみた。
['11/07/31]
外形の工作が済んだところで、各部のディティールを追加していく。

先ず、後部デッキはエバーグリーン製の溝(1mm間隔)入りプラ材に置き換え、完成後も取り外しができるように製作。
また射出口の外壁が開き、艦載機の着艦用デッキとして機能する設定としてみた。

後部デッキ内部の工作のポイントは、艦載機を射出口とエレベータまで誘導するためのレールの再現。
詳細な設定までは考えていないが、艦載機とレールを接続することにより、無重力下でも艦載機を確実に誘導できるようになっている(ヤマトの艦内には重力があるが・・・)。

続いて艦載機の着艦用デッキ部分。
ここは外壁が開いた後、内部から折り畳み式の着艦用デッキが出てくるという設定。
この狭いデッキに着艦させるのは至難の業であるが、艦載機の着艦は自動操縦で行われるので問題ない(筈である・・・)。
因みに写真では可動するようにも見えるが、実は固定式。残念ながら流石にこれを可動式にするのは、それこそ至難の業である。

そして後はお得意の(?)でっち上げディティール追加。
市販のディティールアップパーツや細切りのプラ材等をそれらしく貼り付けてある。
['11/08/20]
後部デッキ部の工作はほぼ完了。続いて小物類の製作に入る。
カタパルトはキットのパーツを使用しつつ、船体と繋がる基部はプラ材による箱組み。
エレベータと射出口のハッチはプラ材によるスクラッチである。

製作したパーツを後部デッキに載せ、艦載機誘導用のレールが一本線で繋がるよう合いをチェック。特に問題ないようである。

そして、後部デッキの最後の(?)謎の部分である射出口のハッチ(シャッター)。
ここは底辺を軸にパタンと倒れるという単純な構造。ハッチの内側にも艦載機誘導用のレールが入っており、艦載機はこのレールに沿って一直線に飛び立つという仕組みである(飛び出した艦載機が艦体にぶつからないよう、ちょっと外側にカーブさせた方が良かったかも?)。
まあ、何れにせよ構造的にはこれしかないよね。
['11/09/09]
この後は自分のセンスを信じ、ひたすらディティールアップ処理を行っていく。
ご覧の通り、工作の中心は各種プラ材の貼り付けとなるが、場所によってスジ彫り処理も行い密度感をアップさせていく(くれぐれもやり過ぎには注意)。
因みにディティールアップについて特に明確なコンセプトは無く、何となくそれらしく見えればOKといったところ。
この辺はオレ設定(そもそも"設定"すら無いのだが)で、好き勝手にやってます。


['11/09/25追記]
甲板上の手摺(柵)について。
果たして無重力空間で行動する宇宙戦艦に手摺は必要なのか?と疑問を持つ人もいるかも知れないが、そもそも、艦自体の建造は重力のある地球で行われる訳であるし、別の惑星に着陸することもあるはずである。そう考えると手摺は必須。これが無いと危険極まりない(滑落事故多発!)。
では、宇宙戦艦の手摺をどう表現するか?手っ取り早いのは、艦船模型のエッチングパーツを利用することであるが、果たしてこれはどうなのか?未来の宇宙戦艦に現用艦船の脆弱な手摺は、どうにもチグハグな感じで似合わない。
で、色々考えた挙句、エバーグリーンのプラ材(0.5×0.5mm)を駆使して手摺ではなく"柵"を製作。これでも脆弱な感じに見えるかもしれないが、今回の1/1000サイズのヤマトでは、高さ1m、幅(厚さ)50cmの強固な柵となる。やはりこれくらい頑丈なのが必要でしょう。
['11/09/25]
工作がほぼ完了したところで、いよいよ塗装に入る。
塗装色については、当初ホビージャパン紙掲載の一戸氏が製作した1/350ヤマトに従ってみたが、グレーの部分がかなり暗くなり、どうもイメージが異なる・・・というわけで以下の手順で塗装した。因みに塗料は(一部を除き)GSIクレオスのMr.カラーを使用。

その1:全体をグレー基本色(※1)で塗装。
その2:艦上部のみエナメルの黒でスミ入れ&軽くウォッシング。
その3:艦上部をNo.307(グレーFS36320)をランダムに吹き付け、退色表現。
その4:艦上部をマスキング。
その5:艦底部をNo.1(白)で、パネルラインを残したり広い面はランダムに吹き付け。
その6:艦底部を赤(※2)で塗装。
その7:艦底部のディティール部分にエナメルの黒でスミ入れ。
その8:ガイアカラーのフラットクリアーに更にフラットベースを加え、全体の艶を調整。

※1:No.32(軍艦色)にNo.1(白 )、No.2(黒)、No.5(青)を適量
※2:No.158(スーパーイタリアンレッド)にNo.29(艦底色)を少々

と、こんな感じで仕上げてみた。ヤマトの色について正解はないようなので、各自のお好みでどうぞ。